RAAM1996
- 8日目 -


8日目。桜井選手のレースはテネシー州に到った。ミシシッピ川を渡って、残り780マイルだ。 リンデンという村の看板が、この州のイメージを端的に物語っているようだ。


午後、夜から走り続けてきたペースカースタッフが交代。いよいよレースは終盤戦と、 サポートクルーの打ち合わせも綿密になる。 ペースカーのクルーが信号停車をした時のこと。その脇の住宅から出てきた老夫婦が、 彼らを見て「あんたら、アトランタに行くならもう遅いよ」と声をかけてきたそうだ。 昨年からすれば、ジョークが耳に届くほどクルーもまた成長したのだ。

7日目から8日目にかけてを、大休止なしに走り続けた後、 タイムステーションでバスタオルにくるまる桜井選手。追い込みにかかってからは、 サポートスタッフは、座ると遅くなるからと椅子は出さず、選手は立ったままでいるため否応なしに走り出す、 という策に出ていた。桜井選手がボソッと言った。
「体じゅう痛くて歩けないけれど、バイクには乗れるんだよなぁ」


(この頁の画像は全てDC-2)


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©Daisuke Tomiyasu 1996