○救助について

 基本的に、専門技術や医療知識のない者が、重圧のかかった生き埋めの被災者を救助するのは難しい。場合によっては圧迫がなくなった途端に多量の出血を起こして絶命してしまう可能性もあるし、ガレキの除去の仕方を間違えると却って被災者を圧迫してしまう。

 しかし、救援を待っていられない事態もある。神戸のケースはまさにそうしたものだった。そこで、もし救援を待てず、救助のためにガレキを除去する場合には、上から順番に取り除くようにする。ジャッキアップを考えるなら、テコの応用も立派に機能することを思い出そう。

 また、救助したらすぐに救急車などで病院へ搬送すること。例え元気なように見え、外傷がなくとも、体中を圧迫され続けていた結果、命にかかわる様々な内部症状が起きている可能性がある。

○救助や倒壊しそうな家屋などの応急措置など

 様々な方法で、手元にある道具で対処するようにしたい。日常的に使いもしない道具を、被災時のために皆が備えるのは馬鹿げているが、それが日常的にも使える道具なら、家庭に置いておいて損はない。使えそうな道具としては以下のようなものが考えられる。

 ジャッキ各種・バール・チェーンソー(小型のエンジン式のもの。燃料及びスペアの刃を常備すること。モルタルの混ざった廃材を切ると刃が途端に切れなくなってしまう)・消火器・防火用水・斧・シャベル・材木(適当な大きさの廃材や木っ端)・ハンマー・釘・木ねじ・ドライバー・釘抜き・スパナ各種・ビニールテープ・ガムテープ・ロープ・ワイヤー・ホース・砂・梯子 ・・・・等など

 内容を見て御分かりの通り、ガレージホビーや日曜大工などで使う気になれば使えるものが並んでいる。これらは、日本の家庭においては専門家任せにしがちな分野で、道具もなかなか家庭に常備されていないのだが、欧米では週末の過し方の一つとして定着しており、道具も豊富に揃っている家庭が少なくない。ゆえに、これらを非常用品として列挙するのには少々抵抗があるが、余暇の過し方が話題になっているこのごろでもあり、これを期に揃えてみるのも良いかも知れない。中には使い方に慣れる必要のあるものもあるので、日頃から怪我に気をつけながら、その取り扱いに親しんでおくことをお勧めしたい。


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©Daisuke Tomiyasu (OverRev) 1997