震災後二年が過ぎて・・・・


○後を絶たぬ孤独死 「137人」

一年半の頁のデータをご参照頂くとお分かり頂けるのだが、避難所・仮設住宅での孤独死者数は、当時から倍以上の137人(3月9日現在)となった。
当初より懸念されていたこととはいえ、後を絶たないこの現実に、心がいたむ。仮設に入らず、避難所や公園のテントで暮らす方も、まだある。大変申し訳ないが、それを撮影してご覧に入れる気には、私は「どうしてもなれない」。それで何が伝わるだろう。震災後一年の神戸の写真の状態から変わったことといえば、沿道の騒音・震動問題を残したままの阪神高速全線開通や、三宮の百貨店の復興工事の完了などだが、そうした物質的な復興が、孤独死に至るような精神的な復興の遅れを見えにくくしているように思う。新築家屋と放置された土地に残る基礎という景色は相変わらずだし、その残る基礎の脇の慰霊の花も同じだ。137。犠牲数の増加が止まらぬ限り、真の復興はない。

○絶望と希望

不況やリストラといった状況下で、被災者の就職は困難。職に就ける方はとうに就職しておられ、そうでない方には就職できない事情がある。が、生活保護は資産がゼロにならなければ受けられないし、その資産は様々な規制から売るに売れない状態だったりもする。高齢者の不安は、今や絶望に変わりつつあるのだ。

そんな中で、今年も卒業・進学・就職の季節がやってきた。親にとっては育ち、巣立つ子供こそが希望だ。被災地にめぐってきた三度目の春だ。


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©Daisuke Tomiyasu 1997