○保管場所

●非常用食料・飲料水など

 家の中では、ベッドの下、カーテンで覆った書棚の中、クローゼット、ポリのゴミバケツの中(上を平らな板で覆い、その上からテーブルクロスをかけておくと調度として見苦しくない)などが保管場所に考えられる。

 非常時に、家屋が倒壊することを考えると、これから家を建てるのなら、屋外の乾燥した冷暗所となるような場所に非常用として小さな保管庫を作っておくのが良さそうだ。また、北側の涼しい場所に、市販の小さな物置類を置いて、非常用品を保管するのも良い。

 ガレージの倒壊は意外に多く、マンションでは一階部分が完全に潰れ、駐車場に置いた車に数階建てのビルがそのままのしかかって車を押し潰しているのも良く見受けられた。ゆえに、自動車内というのはあまりお勧めできる保管場所ではない。それでなくとも、車の中は夏の炎天下では相当に温度が上がるから、保管場所としては不適当だろうし、食料のみならずアウトドアギアの類の保管にも、倒壊のことを考えるとお勧めできない。

●日常の食料

 冷蔵庫に買い置かれている食料は、保冷箱に移すのが良いが、もしそのまま冷蔵庫で保存するのであれば

 ▲冷凍庫が一杯なら、極力開閉せずに保つ。冷凍食品の芯が解凍されてしまうまでは保存可能である。

 ▲冷凍庫が一杯になっていなければ、隙間を新聞紙で覆って詰めてしまう。

 なお、保冷箱に移す場合でも、新聞紙で覆ってしまうのは保存日数を伸ばすのにかなり有効な方法である。

○その他の非常持ち出しなど

●常識的な持ち出し品

 貯金通帳や印鑑、免許証やパスポート、保険証など貴重品(特に再発行手続きなどが面倒なもの)・電話番号メモなどは、常識的な非常持ち出し品だが、神戸で、本人であることが証明できれば払い出しに応じるなどの特別措置が講じられたことでも分かるように、実際にはそれすらも持ち出しが難しいことも考えられる。一応、常識的な範囲のうちとしてここに記すが、地震はそのような常識すらも通用しないものであることを覚えておいて欲しい。

●耐火金庫

 神戸の地震報道で、中まで丸焦げの耐火金庫が紹介されているのをご覧になった方もおいでだと思う。敢えて言うが、世の中には完璧なものはないし、形あるものいつかは崩れる。耐火金庫とて、万全ではない。

●日常の品物

 腕時計・財布・小銭・メガネ・ハブラシ・石鹸・・・・

 これらをここに書き留める必要があるかどうかは疑問だが、敢えて書いてみた。被災地では意外なものも動転して忘れてしまいがちだ、ということを念頭においておきたい。

 また、地域の地図も、あればあれこれ重宝する。自分が避難する経路について検討する場合は勿論だが、自分に救助活動を助ける余力があれば、その際に主な避難所の位置を確認するなど、用途は広い。他の地区から救援に来られる方があれば、土地勘のなさを補うし、住み慣れていてもランドマークが破壊されていれば分かりにくい。


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©Daisuke Tomiyasu (OverRev) 1997