ノウハウ編


1:ロサンジェルス市のマニュアルの記述から


○被災した時の行動

■被災直後

●とにかく慌てずに、先ず気持ちを落ち着かせ、それから行動すること。周囲を確認し、走って屋外に出たり、階段を降りたり、エレベーターを使って避難したりしないこと。会社などでは誘導を待つこと。家に戻るのは、安全なルートを確認してからにする。

●被災直後、暗い時には懐中電灯の類が最も頼りになる明かりとなる。マッチを摺ってはならない。タバコも駄目。電気器具のスイッチは入れないこと。電気のスパークが火災を引き起こす可能性がある。

●可能なら丈夫な靴を履き、布などで手や脚を割れたガラスなどから保護する。頭や顔は、書類箱でも新聞紙でも、とにかく何かを使って保護する。

●周囲の人々の怪我の状態などを確認し、必要なら応急手当てを施す。重病人は動かさないこと。地震の精神的外傷から精神的な支えを必要としている人には、誠意をもって対応する。

●火災や火の気、有毒ガスや悪臭など、異常がないかを確認する。

●電気回路・電話線・水道・ガスや装置類を確認する。

 電気器具や配線が煙を出していたりスパークしていたら、配電盤のメインブレーカーを落とすかヒューズを外す。もし再使用する場合は、その前に専門家の検査を受けること。
 漏れたガスの匂いがしたら、ガスメーターの処のメインコックを閉める。窓を全て開き、建物から出てガス会社へ連絡する。公式に安全だと分かるまでは建物内に戻らないこと。修理にあたっては専門家に任せる。

●外れている受話器は元へ戻す。モジュラージャック式の電話配線なら、家から離れる場合にはジャックを抜く。

●風呂に適量の水を張る。水道が破壊されて出ない場合も考えられるが、その場合には元栓を閉めておく。

■被災後の数時間

●電気スイッチ、器具類及び火を使う道具類は、もしガスが漏れている可能性があるなら使わないこと。電気回路のスパークや火は壊れたガス管から漏れるガスへ引火し、爆発を引き起こす。

●けが人や倒壊物などで動けなくなった人を助ける。必要なら助けを呼ぶ。あなた自身が怪我をせずに挟まれたり下敷きになっている人を助けられると思ったら、破壊物を上から一つづつどけるようにして救助する。

●余震の危険から守るために、ペットを監禁しておく。

●災害に関する情報を得るためにラジオを聴く。

●トイレを流す前に、下水管をチェックする。

●糖尿病や心臓病の患者の場合には、決まっている治療を欠かさないようにする。

●清掃・復旧作業が始まる前に被害状況の写真を撮影する。後に保険や公的補助を受ける際に必要となる場合がある。

●こぼれた薬品・薬物や割れたガラスなど危険なものを除去する。

●避難の必要があるならば、72時間分の食料や水を持参する。家のダメージが深刻な場合、家の近くに数日間避難する。(原文では「裏庭や隣近所の家に数日間避難する」)

●火災、浸水、地滑り、津波など、可能性のある危険に注意する。

●本当に必要な時以外は運転せず、運転する場合には細心の注意を払う。道路を非常車両のために開けておく。

●電話は非常事だけにする。一般家庭の電話が不通でも公衆電話は使える。停電で電話カードは使えないだろうから、小銭を用意する。

●水や食べ物を持たずに遠くへ出かけないこと。食べ物は健康と天災下の緊張を調整し、生命を保つ要素で、あなたの対処能力にとって必須となる。

●窓際に置かれた、開封されたいかなる水や食べ物も摂取しないこと。

●意義のある仕事を見つけて子供たちにあてがうことが、責任感と精神的ダメージの回復を通じて、彼らを道徳上健全に導くことになる。

●自分や周囲の人のストレスの兆候に注意する。嫌な記憶の蘇りや心配事、呼吸困難、不眠、肉体的兆候などが特徴としてあげられる。質問などから遠ざける時間を取り、休ませる。家族や友人の愛情や支えが貴重である。さらに、必要とするならば専門家の援助も得られる。

●厳しい衛生管理の実行を家族全員に思い出させ、指は口に入れない。水が限られ健康状態も悪くなりがちで、感染率を上げている可能性が高い。

●余震は本震に比べると弱いが、更なるダメージと精神的外傷を与える。小さな子供のそばについていてあげること。子供は極端なストレスとなる親と離れている時間を怖がる。

●あなたの家の構造的なダメージを注意深く調査する。出口ドアは開いておく(時として開閉できないことがある)。主震が構造にダメージを与え、余震は不安定になった壁を揺り落とす。発見しきれなかった暖炉のダメージは火災の原因となる恐れがある。構造上安全であると分かるまでは家に居座るべきではない。

●固定していない家具の表面を余震から守るために、新聞紙で厚く包み、表面は段ボールや板で覆う。

●地震の際に家にいたならば、まずはそのまま家、またはその周囲にとどまり、外に見物気分で様子を見に出ないこと。津波の危険性があるならばそこから離れる。学校にいるならば確認のため教師に、自分及び周囲の状況を報告する。仕事中なら、責任をもって安全を確保し、情報が十分に整うまで待ち、帰宅はその後にする。

●クローゼットや納戸・物置をチェックする。ドアを注意深く開き、棚から落ちた物などを観察する。

●ダメージを受け、或いは壊れやすくなっている建物に入り、作業をするには細心の注意を払うこと。それらは何の前触れもなく崩壊するかも知れない。

●もし窓が壊れていたら、セキュリティの確保の必要性に気づいておくこと。

●可能な時に、あなたが無事であることなどを家族に知らせる。通信が通常に戻ったら、他の親戚や友人にも通知する。

●警察や消防、非常災害救援組織(訳注:本葉製作時1995年4月現在、まだ日本には存在しない)、及びその他の救援組織の応援要請に協力する。

●避難しようとする場合には、他の家族のために、前もって決めておいた場所にメッセージを残す。行き先及びそこへの道順を記述すること。


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©Daisuke Tomiyasu (OverRev) 1997