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〜2008/09/17 No.6

諦めず、気長に (07年09月27日)

光害が酷い、ひどいと愚痴ってばかりいても寂しい。なんとか写らんものかと、晴れた夜には双眼鏡でコンディションチェックを続けていたが、熱帯夜の続く猛暑で「夏休み」。ようやく先週あたりから夜にはちょっとは涼しい感じになったその途端、待ちかねていたコンディションの良い夜がやってきた。
本当に久々のセッティングで少々手間取ったが、これまでにも増して綺麗なアンドロメダとスバルをモノにできた。無論、光害のないところで撮影されたものからしたら比べるべくもないけれど、まだまだ捨てたモンでもない…と思うのは早計。もうじき、すぐそばに建築中の大規模な介護施設がスタートしたら、ひょっとすると夜間照明が酷くて完璧に打ちのめされるかも知れないと思うと、恐々。
ところで、その光害による休みの間に、Orion反射鏡のフォーカサーマウント部分に手を加えた。アルミアングルを切って、鏡筒との間に挟み込んだのだ。鏡筒と接する面積が大きくなるし、少なくともアングルが有効な長さ方向には曲がらない。残る問題は円周方向だが、使ってみたところ、接触面積の拡大は存外に有効だったようで、152mmにEOS1DsMk2の巨体を接続しても、月の両端でピントがずれるような、たわみによるひどい光軸の曲がりがなくなった。こんな具合に手を加えることもまた、楽しみのうち。
思うに、鏡筒全体にアルミアングルでリブを作れば、鏡筒全体のたわみが抑えられるだろう。
もっとも、これと振動の問題は別で、鏡筒バンドのスパンを大きくしたというのに、EOS1DsMk2のミラーによるブレは収まらず、ミラーアップが正解。
たかが月、されど月。月食、中秋の名月、Harvest Moonとこのところ月の撮影が続いたが、月の写真は本当に難しいと改めて思う。
巨大な谷や崖がそれと分かるように拡大撮影してみたいと思うけれど、これまた、コンディションや月齢に左右される。なんたって無限なだけに、宇宙を撮るのもまた、とてつもなく奥の深いものだ。諦めないで、気長に楽しんで行きたいと思う。


〜2007/09/27 No.5

夜ってのは暗いモンだろうに (06年10月23日)

拙宅のすぐそばに、駐車場になっていた広い空き地があった。これが宅地開発され、30軒ほどの住宅が立ち並ぶ計画が進行中。既に半分くらい建っただろうか。すぐ道路を挟んで反対側の空き地に建った家には人や車が通ると灯る屋外灯が設置されているのだが、これが抜きんでて明るい。車が走り抜ける都度その明かりが灯り、カブリ込む。車も増えてお手上げ。加えて、神戸市東灘区には震災で倒壊した家屋群の跡にここ数年多くのマンションが建てられ、雨後の筍。高速沿いにはバカ明るいネオンが加わるわ、スーパーダイエーは24時間営業になって上屋の看板の照明を消さないわで、もう最悪。踏んだり蹴ったりだ。
そのうち一番酷かったのが、下の30軒建つ開発地の街灯で、10秒露光でも画面が真っ白になっていた。最近、ようやく2軒の家が我が家との間に建って影になり、最悪のダメージはなくなったので観測撮影を再開しようとしたのだが、前述のように世の中全体が明るくなっているのにはあがないきれず、一昨年までのようなディープスカイはいよいよ望めそうもないと分かった。
再び書くが、神戸一千万ドルの「夜景」は「ヨケイ」と読むのが相応しい。
高速道路沿いのバカ明るいネオンは幻惑を誘発して危険この上ない。あぁいうのを見ると、ガハハと下品に笑う図々しい経営者が思い浮かぶ。高速道路を走行しているドライバーの目が、その明るさと次に待つ暗さという極端な変化に順応追従できるわけがない。
経営危機からの復活を目指すダイエーが深夜夜空に向かって屋上の看板を照明するのは全くの無駄。アメリカには24時間営業スーパーが多いが、あんな無駄なことはしていない。どこも、スタッフは少なく外は暗い。いや、ともすると中も薄暗い。商品を陳列したりするためにスタッフが働いていて、どうせスタッフがいるなら売らない手はないだろう、という感じで営業しているので、買い物をすると慌ててレジに駆けつけてくれる。そうしたアメリカなどの24時間営業を見習ったつもりだろうが、今のありようは、「視察」などと言いながら経費を使っている連中に、見なくてはいけないところを見抜く目がない証拠だ。
第一、そこらじゅうが明るくなれば、歓楽街の明るさは逆に価値を失う。照明デザイナーなどという職業があるらしいが、現実の有様を考えると、星好きには害虫のように思えてくる。明かりを職業にするのなら、どうすれば効果的か考えるべきだろう。暗いところがあるからこそ、灯った明かりが映えるのだ。
夜は暗いものである。室内照明も、就寝時間に向けて序々に暗くすれば、人は安眠・熟睡できるし、明るい朝を迎えて目も覚める。戦後の貧しさと世の中の暗さから立ち直った証とばかりにガンガン明るくするのは、これからの先進国には似つかわしくない。LEDのように優れた光源も普及しはじめている。必要最小限の電力で最大限の効果を、あらゆる面から熟慮して得られるように仕向けるなら、こんなに酷い光害は発生しないだろうし、そうなってこそ環境立国というものだ。


〜2006/10/23 No.4

年寄りの冷や水 (05年8月29日)

一つにはblogを始めたせいで、こちらのコラムの執筆機会が減ってしまったのもあるけれど、昨年10月の日食からこのかた、20Daや1DsMk2をゲットしたり、はたまたマウントG11を買い足したりと、道具は充実してきているのに、肝心の撮る機会のほうは天候に恵まれずに見送ってばかり。近所のミニ開発で増える住宅も、光害を増やし、益々気力が萎える。かつての火星大接近のような目立ったイベントがないことも、そうした萎えた気力を再び奮い立たせることのない一因だろうか。
観測は継続こそが力とは分かっているのだけれど、シーイングと絡んで「この程度のシーイングで撮ってもなぁ…」なんて思うから、尚更いけない。そんなこんなで、一年近くおいての更新となってしまった。
最近つくづく困惑するのが、フォーカサーの固定。折角光軸を合わせても、フォーカサーの周辺が柔らかいので、カメラの重量を支えきれないのだ。例えば、外周径に合わせて整形されたアールを描いたアルミアングルでもあれば、最小の重量増でフォーカサーと幅鏡の位置関係をリジッドにできると思うのだが、そんなものは、ない。何か良い手はないものかと、考えあぐねている。矢鱈と丈夫に作りゃ重たくなって、理想とかけ離れてしまうのだろうが、位置関係を固定する必要のある部分の相対的な課題として捉えれば、全体を重くする必要はないはずだ。この意味で注目しているのがCPT(Compact Precision Telescope)。位置関係でリジッドさを確保するセオリーに加えて、こんな形なら大気順応も素早いだろうし、主鏡の清掃も楽だろう。風による揺れも最小で済むのではないかと思う。300mmを使うときの風の影響はG11になってかなり減少し、GM8とかくも違うのかと驚いたほどだけれど、少ないに超したことはない。
そして、何より、設置にあたってギックリ腰の危険も少ない…って、こんなことを危惧しなきゃいけないトシなのが、悲しい。老化には誰も抵抗できないけれど、若い頃の重量級機材運搬で痛めた私の腰は、常に要注意。治癒するまで一週間ほど、激痛で全く身動きできなくなる。設置しっぱなしで、好条件で観測できる方々の、なんと羨ましいことか…。G11でもポータブルなんて言えるのは、若いうちだけ。私がやったら、そろそろ「年寄りの冷や水」と言われそうだ。


〜2005/8/29 No.3

日食と風 (04年10月17日)

日食の撮影は大成功。当初、ちょっと曇ったけれど、そのくらいは、ねぇ…。ところで、この日食を前に、10Dのローパスフィルタに埃がついていたので、除去しようと掃除していて、うっかり傷をつけてしまった。画面中央付近に三つの縦筋。修理に出すしかなかったが、14日には到底間に合わないタイミングだった。やむを得ず20Dを購入。ところが、思いがけなかったのが20Dの白黒モード。Hα画像を撮影するのに、とても優れた機能なのだ。おかげで、良い画像をモノにできた。

ここ数日、夜間の天候もさほど悪くない。もっとも、風が強く、シンチレーションも酷くて、強拡大の惑星には不向きだ。その風がまた、問題。防風のために、簡単に衝立を立てて対処してきたのだが、昨夜はそれを吹き飛ばされてしまい、跳ねたパネルで、小物を入れた箱を載せていたフォールディングテーブルも転倒。薄暗い庭先のそこらじゅうに道具をぶちまけてしまった。まぁ、望遠鏡が転倒しなかっただけでも良しとするしかない、か。

風を避けるのに一番良いのは、ドームなりスライディングルーフなりの観測所を持つこと。だけど、この光害地にそんなものを作ったところで…と、オッサン熊の頭の中では堂々巡りが続くのであった…


〜2004/10/17 No.2

神戸東灘区の観望地で設定した状態。BORG76EDをガイド鏡に、AGA-1で追尾をかける。天気にゃ勝てない (04年9月18日 - 24日加筆)
相変わらず1000万ドルの夜景(よけい)が明るい神戸。大口径は光害を乗り越えて像を見せてくれることもあるけれど、それも条件次第。逆に、環境の欠点も拡大するようで、シーイングが悪ければ大口径のご利益は薄くなる。もっとも、小口径で星が跳ねるようなとき、大口径ではピントが定まらないというように、影響の具体的な出方は違ってくるようだ。
この夏の悪天候続きで、ディープスカイ狙いのつもりが思うように行かず、暇になると望遠鏡をいじる楽しみで溜飲を下げた。その一つが、VIXEN AGA-1をGM-8で使えるようにする改造。改造そのものの結果は大成功(写真左=改造結果検証中)なのに、天候には勝てず、その威力を発揮した画像は、まだモノにできていない。
追尾がうまく行かない要素は色々あるけれど、望遠鏡のたわみだ何だと細かいことを言える方はまだ幸せかも知れない。なんせ、ドームなんぞない、吹きっさらしの玄関先での観望だから、ちょっとした風でも大きく影響する。そこで、望遠鏡がしっかり載っていれば違うのかと、アメリカに鏡筒バンドを発注。ついでに、GM-8のウォームギアの交換用高精度版というのを見つけたので、それも注文した。9月18日現在、まだ届いていないそれら部品だけれど、取り付ける暇は十分にありそうな気象予報なのが悲しい。
(24日)届いたとどいた。届いたパララックスインストゥルメンツのリング (325mm OD tube $245 = Losmandyドーブティルプレート用ネジ穴加工込) を、同時に頼んでいた17.25インチ・ドーブティルプレート($60)に組んですぐに装着。いやぁ、実にしっかりした印象。電子メールで親切に対応してくださった同社のMr.Joe Nastasiと、購入にあたっての便宜を提供してくれた友人クリスに感謝。でも、ジンクス通り届いたその日は雨・曇り (;_;)。あぁぁ…
*10/4未明初使用撮影。結果は○(^^)v

2001〜2004/9/18 No.1

神戸東灘区の観望地で設定した状態。TV85とBORG76EDを同架して、AGA-1で追尾をかけながら、E-5000で撮影中。光害の神戸 観望・撮影の様子

神戸といえば夜景(やけい)だが、この趣味を始めてからというもの、この字はヨケイと読むんとちゃうかぁ、と思うよぉになってきた。それほど明るい。

TV85とBORG76EDを同架して、AGA-1で追尾をかけるのだが、モニタ類も明るい。また、GP赤道儀に屈折式では、体を横たえて、クマならぬヘビのごとくしなくては天頂付近の星は覗けないから、姿勢はとても苦しい。

2003/3/20 20時30分頃撮影

ちなみに、このサイトに掲載している画像は、2003年8月までのところ全て自宅神戸市東灘区で撮影したもの。観望は、光害に悩みつつも、多忙な仕事を終えた後の僅かな時をとらえての、私にとっては貴重な、つかの間の息抜きだ。


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