HOME

BORG TOP
TeleVue TOP
Orion 300mm
METEOR
HOME

- Orion Optics 152mm f5 -

152f5
Link to the Orion Optics UK web site

MOON

PLANET GALAXY

天体望遠鏡にはど素人の私があれこれ書けるもんではないのかも知れないが、名だたるアマチュア天文家の諸兄には、その各Webサイトの著述を大いに参考にさせていただいたことを感謝しつつ、写真機材という光学機器をアマチュア時代から35年の歳月触ってきた経験を土台に、この望遠鏡についても書いておきたいと思う。釈迦に説法はお許しいただきたい。

Orion 152mm について

アメリカには比較的安価な入門〜中級機を販売しているOrionというブランドがあるが、英国のOrionとはかなり趣が異なる。日本でテレビュージャパンが取り扱っているのは英国製。先に入手して使っている300mm、今回入手した152mm、どちらもアメリカ市場には存在しない。

小口径152mmをゲットしたのには、ワケがある。アメリカの天文誌Sky&Telescopeに、TV-85で撮影した画像を“hopelessly fuzzy”(絶望的にボケボケ)と、小口径の欠点の見本として掲載されたのだ。そりゃあ、85mmなんだから、ねぇ…と思いつつも、どこか悔しかった。だがしかし、ではどうすれば旅行に携えることのできるサイズで、最良の画像が得られるか…。

その答えの一つは、これまたイギリスのミラーメーカーR.F.RoyceのWebサイトにあった。1/8P-Vよりも高性能であればシャープな像が得られるが、それ以下ではボケる、という比較分析だ。これは非常に分かり易い。もともと、このサイトに行き着いたのは、香港の天文愛好家が使っている自作望遠鏡で撮影された木星とその惑星の画像に驚いたからだ。何を使ったらこうも写るものだろうかとサイトを探っているうちに、Royce鏡が出てきたというわけ。そこでRoyce鏡のサイトに行き、あれこれ見ているうちに、ミラー精度についての考察記事を見つけたのだった。

旅行用として良く使われてる望遠鏡には、セレストロンのC5やC8がある。軽く小さな筐体でありながら高性能であること、という条件には、カセグレン系はポイント「稼ぐ連」だ(…最近オジン洒落が…)。私は、その条件にさらに「調整が容易なこと」「運搬上の事故が起きても懐へのダメージが最小であること」などの条件を加えた。機内持ち込みではTV85がほぼ上限。それで駄目となれば、バッゲージとして預けることになる。適当なケースに入れて運んだとしても、かなりのショックを与えることが分かっているから、到着後の調整は必須となる。ならば、調整が容易、イコール、構造が単純なニュートンのほうが良い。がさらには、その荷物が消えてなくなることだってある。最悪の事態でもダメージは最小にとどめたいではないか。

かくて、できるだけ高精度かつ低価格(そんな虫のよい話があるものか…とは思いつつ)のニュートンをあれこれ探していると、テレビュージャパンオンラインショップで、オライオンのミラー特注の価格表が目にとまった。高精度+高反射コ−ト仕様をオーダーしても、さほど大きな価格差じゃあないし、副鏡の大きさも理想的。早速、同社天津氏へ連絡すると、納期三ヶ月とのこと。発注は即決したけれど、ここで問題発生。2004年10〜11月に予定していたアメリカ旅行に間に合わない。泣く泣く旅を諦め、仕事の日々を送る意をきめた。稼がなきゃ買えないし旅にも出られないのだから、まぁ、エエか…

待つこと三ヶ月ほど。ようやく届いたオライオン152mmには、以下のような分析票が添付されていた。どうやら性能面は期待通りか、それ以上のようだ。

152mm f5は3.5kgで全長695mm。ラッゲージ制限にケースの余裕を見てもほぼ限界に近く、かつ軽い。副鏡による中央遮蔽を考慮に入れても、100mm径屈折よりも軽くて手軽に、同口径程度のご利益は得られているだろう。但し、フォーカサーだけは、撮影にはとても使えないので、若干の重量増には目をつぶり、実物の到着を待って300mmと同じムーンライトを発注、交換した。装着にあたって相談したムーンライトフォーカサー社のRon Newman氏、メールに添付した上の図を見て「Strehl ratio 0.984だって!!」と驚いていた。

そんな152mmのファーストライトの印象は「凄い」の一言。300mmでは明るすぎて見づらい土星が、カシニはおろか細かい模様までクッキリ。眼視で楽しむ目的なら、その価格や大きさの手軽さと合わせて、一番のお勧めだ。

但し、撮影結果となると、85mmと300mmの中間、やや200mm寄り、というところだろう。出来の悪い300mm、調整の追い込めていない300mmなら凌駕しているかも知れないが、やはりそこは150mmの口径。それを一番感じるのが撮影時のシャッタースピードで、300mmと比べるほうが間違い。それでも、可搬性とバーターで失ったものは、高精度ミラーのおかげで最小で済んでいると思う。

Saturn - single shot as same as looking by naked eye論より証拠、右の土星はRadianにContax SL300R T*のコリメート撮影“単画像”。掛け値なしに「こう見える」。使っていて、いつまでも眺めていたい─そんな気になる望遠鏡だ。実際、iPodでニューヨークフィルの惑星などを聞きながら眺めていると、最高の気分に浸れる。

月や星雲でも口径相応以上だし、言うことはない。これだけの性能が10万円ほどで手に入るのだから、凄い。コストパフォーマンスでこれを上回る望遠鏡があるだろうか。

できるだけ高精度かつ低価格という虫のよい話が、あったのだ。1/8P-Vという敷居は、R.F.Royceサイトの論の通り、実証された。頭が痛いのは、このせいで今度は300mmに1/8P-V+Hiluxの鏡か、R.F.Royceの鏡を奢りたくなっていることと、未だに渡米のためのオフが取れないこと。本当はこのシリーズのWebの公開は、遠征後にしたかったのだけれど…

2005/2/28


Copyright©Daisuke Tomiyasu 2001-2005  -My picture web main site-