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— 惑星/PLANET by TeleVue85 —


Saturn by TV85 @ Chatsworth, CA. USA

Saturn by TV85 @Chatsworth, CA USA

これを撮影したのは北米カリフォルニア州チャツワース郡。折から火災で注目を浴びた直後だったのだけれど、同郡の火災はほぼ鎮圧状態にあった。その旅はロサンジェルスを起点としてニューメキシコ州シィラに始まり、雪のレークタホからサンホゼを経てロサンジェルスへ、友人を訪ねまわって戻る、というレンタカー2000マイル以上のドライブ旅行。

仕事があまりに忙しく、ほぼ三年もの間疎遠にしていたので、どうあっても旧交を温める旅が必要だったのだけれど、僅か19日間でこれだけの距離を走り回るのは、かなりホネだった。できたら次は一ヶ所で続けて滞在し、観望しつつ休息の日々を送りたいと思う。

コンディションは無論ニューメキシコが最高。富士山五合目と変わらない標高と、夜毎に晴れ渡る内陸の沙漠の乾いた気候。そして、近くに大きな街がない暗さ。恐らく低緯度オーロラだろうと思う画像も撮影できたほど。ではなぜそこで撮影した画像がないか…(お願いだから聞かないで(;_;) )。脳裏にやきついたその美しい星々の像は、私をもっと研鑚しつづける気持ちにした。

さて、それはともかく、この土星。皆さんご経験のとおり、日本ではジェットストリームの影響でシンチレーションがおき、酷いときにはファインダー内で星が飛び跳ねたり、形状をブヨブヨと変えたりするのだけれど、カリフォルニア州チャツワース郡の友人宅庭先で見たこの土星は見事に安定していて、幾ら眺めていても飽きないほどクリアだった。さすがに都会でディープスカイは望むべくもないけれど、これは圧巻。下にも日本で苦労の末にモノにした土星があるけれど、あっさりとそれを上回る結果を出してしまったからたまらない。大口径を据えられたら、もっと良い結果にありつけると思うけれど、それはそれ。航空機持込にも全く問題のないTV85が、最後のチャツワースの夜にこの映像を与えてくれた。

SKYWATCH '05 クリックで拡大画像をご覧になれます

- 後日談 -
上の画像が、アメリカの天文雑誌SKY&Telescope誌の別冊SKYWATCH'05に掲載された。掲載されたまでは良いのだけれど、200mm径と比較して、小口径は絶望的にファジーだ、ときた。そりゃあ、口径が倍も違えば、話が違ってくるのは当然。シーイングが悪いとそのご利益も薄くなる、とも書いているけれど、何よりも大事なのはその望遠鏡で何をしようとしているか、だ。先ず、屈折以外には調整という課題がある。次に、もし200mmの屈折なんてのがあったとして、旅行に抱えて行くような代物だろうか。はたまた、値段もまた天文学的(?)かも知れないじゃないか。だから、大口径が有利なのは真実だが、ユーザーの望むこと次第で、その有利さは様々なニーズとバーターにしざるをえないのだ。(2004年8月4日)

SPECIAL THANKS TO: Marv & Kay Spector, Kurt Reichl, Joe & Sherry Runyan, Dan Dominy, Lloyd & Melanie Vancil, Steve Kopito : They help me to one of my dream come true which carry the telescope to see the stars at some part of USA. Because I've seen so good night sky at USA before.

低緯度オーロラに興味がおありの方は、どうぞご覧ください。


Mars 03/09/08 Mars 03/09/08

Vixenから初期不良交換となったDD-1の交換品が届くまで(9日予定)、Orionが使えない。でも、折角の条件を無視することもできない。なんせ、自転で日々変わる向きに、どんな風に見えるだろうと気もそぞろになる。で、TV85で観望。ついでに、デジカメでパチパチ。ピント合わせのためにモニタに像を出すと、眼視では今ひとつの模様がかなり見えてくる。そして、撮影済み画像をコンポジットすると、それがさらに浮き上がる。アウロラエ湾からエリュトゥラエムの海を経てマルガリティフェル湾にかけてのシャドウが正面に回ってきている。

シーイングは若干悪いかな、という程度。シンチレーションで若干プヨプヨとするが、なんとか1/8秒でも画像の数量が稼げた。いつもは南中を待って撮影にかかるのだが、このところの気圧配置では遅い時間になると雲が広がるので、早めにスタートして撮影。大気による色ズレが心配だったけれど、思ったほどの悪影響は出ていない。観測地点の我が家からみると、東に上がってきた火星の下には甲子園球場があり、ナイター照明が輝く中、阪神タイガースが優勝に向けて試合を繰りひろげる。6万年ぶりの火星接近年に阪神優勝とは…。


Mars 03/09/05Mars by TV85 - 030825

小さな大口径シリーズ? 火星。反射式とはちがって、きちんと写ると、今度は僅かとはいえ色収差の処理が難しい。シャッター速度も遅くなるので、一苦労。上くらいに縮小していると密になって綺麗にうつっているかのように見えるけれど、拡大すると、やはり300mm(f=1200mm)と85mm(f=600mm)では、オブジェクトの再現サイズで違いが出るが、これは当然。上は比較的良好な画像を選んでいるが、この夜は南中後西へ傾くほどにシンチレーションの悪影響が大きくなって、とても見られたもんじゃない結果しか得られなかった。


Mars 03/08/25Mars by TV85 - 030825

小さな大口径TV85での火星。雲の合間で十分な枚数をきちんと連続撮影できなかったこともあるが、オライオン300mmと比べると 、やはり辛い。でも、それなりに写らないわけではない…かも。 むろん、眼視なら十分堪能できる。デジカメ撮影でも、フォトショップなどでの調整次第では、このような画像に仕上げることもできる。下の6月の画像と比べると、かなり大きく撮影できるほどに近づいたことが良くわかる だろう。


Mars 03/06/03Mars 03/06/03

オライオンに比べて、小口径だけに暗くてシャッター速度が遅くなって不利なTV85だけれど、それでも、悲観するほど悪くない映像がモノにできた…かも知れない。大接近時には、この小さな大口径にも、もっと期待できそうに思う。


Jupiter 03/03/20Jupiter 03/03/20

この撮影成果も出るかどうか疑問だった。昨シーズンは千載一遇の一夜があり、眼視でも大赤班がクリアに見えたというのに、今シーズンは全然ダメ。この夜も、見えているかのような気がする程度。大口径と違い、小口径での撮影にはシーイングの影響は本当に深刻に響くのだろうか。大口径を経験するまでのオタノシミ。E5000での撮影方法はLモード連写で、という前回までに固まった方法。NikonデジカメとPowermateでの拡大撮影ではレンズの研磨痕が写るために止めてからというもの、惑星撮影はRadian 3mmの独壇場だ。面白いことに、木星は土星とちがってステライメージのコンポジットバッチ処理で位置合わせ(重心)が有効に機能するから、枚数は撮れないけれど、合成そのものは楽ちん。

この日は、かねてから予定していた望遠鏡をセットした様子の撮影と、ある程度Jupiter 03/03/20 as animated GIF自転が分かるようなアニメのための素材撮影(成果は右)、そして、Radian18mmでの衛星を含む撮影(成果は下)も行った。連続撮影と連続撮影の合間に5〜7分ほど、データ保存のために撮影不能となるが、その間の自転がそのままアニメとなった。

衛星エウロパとイオをしたがえた木星


Saturn 02/12/15strn021215_as_s.jpg

11月13日に似て、高気圧がドォンと出てきた夜。午前二時半頃からは放射冷却現象で気温が下がったけれど、14日の日中から気温が低かったこともあってか、大気の安定度はこれまでで一番。おかげで180枚ほどの良質の合成材料が撮れた。ピントあわせに米J.M.I.社のMotoFocusを導入。フォーカスノブを握って回す都度おきるブレがなくなり、すぐにピントの山が見つけられるようになった効果は、想像以上に大きい。

コンポジット作業では、先ずフォトショップ上でレイヤーで“比較(明)”にして重ねながら画像のズレを修正し、最後に適当なサイズにトリミングしてから、再圧縮ノイズの出ない形式で各レイヤーを単画像として保存する。そうしてできた画像を合成するには、ステライメージかアストロスタックを使う。ステライメージで150枚という下右の土星を撮影したときの方法も試したが、どうも今一つ甘い。そこで、初心に戻り、アストロスタックでこのサイズを合成できる28枚ずつに区切り、計五枚の合成済み画像を作成。これを再度アストロスタックで合成した後、フォトショップで調整して仕上げてみた。

それにしても、この位置合わせ、もっとダイナミックに自動でやれるようになると有り難いのだけれど、駄目かなぁ…。一番時間を取られるのが位置合わせ作業で、レイヤーを可視・不可視状態に切り替えながら、ズレのない位置を探って行く。最後にアストロスタック上で自動位置合わせをした後、微調整して完了という手順。正直、一番うんざりする作業ではある。


Jupiter 03/03/11images/jupiter/0226-0031bs.jpg

3月というのに、なかなか寒さが遠のかない。冬型に入る手前の、近畿地方が低気圧と低気圧の狭間にあったこの夜、北から南へ、次から次へと流れてくる雲の合間を見て撮影。透明度が高かったのが幸いした。
実は、前夜に撮影しようとしたところ、GP赤道儀が妙な動きをしていた。良く見ると、モータードライブコントローラーDD-1とモーターMT-1を接続するケーブルの赤経側ジャックがもげかかっていて、触ってグニュグニュとやっていると、もぎ取れてしまった。VIXENはピンアサインをWebに載せるような気の利いたことはしてくれていないから、仕方なくDD-1を開いて、赤緯側のピンとケーブルの色をテスタで調べ、同じ設定でモゲたジャックをハンダ付け。カバー部には手持ちのジャンクの、たまたまあった合うものを利用して修理した。が、時間がかかりすぎて、既に気温が下がってシンチレーションが発生してしまっていた。つまり、この夜はリベンジ。雲が多くて一時間と続けられなかったが、運良くそこそこのものが撮れた。

前回から以後、撮れる都度蓄積していたデータから、2〜2.4倍程度デジタルズームを利かし、Lモード連写で撮影すれば60枚以上の素材を撮影できると分かっていたので、あとはひたすらシーイング待ちだった。シーイングの良い状態が続いてくれるような機会があれば、自転の分かるアニメーションも作れそうだ。

Jupiter 03/02/24strn021215_as_s.jpg

土星と違って、2分以内で出来るだけ数を稼がないといけないのが木星。連写すればある程度枚数は稼げるが、一方で、途中で風が吹いてくるなどしてブレると、その間の駒が無駄になるし、合成時にはずす手間もかかる。これでも、ちょっとはマシになっただろうか。もうじき黄砂の季節になり、クリアな映像が得られなくなる。それまでの、つかの間のターゲット。毎日天候を見ながら、撮影のチャンスを待っているのだが…


Jupiter 02/12/15jptr021215b.jpg

上の土星撮影後、高度があがってきた木星を久々に撮ってみた。木星は自転が速く、二分以内の撮影にしないと自転によるブレが発生するという。ところが、この基本に則って撮ろうとすると、コンポジットする枚数が稼げない。一方、画質を上げようとすれば、コンポジットは外せない。

出来のよしあしはどうやら単画像の画質をどうやってあげるかにかかっていて、比較的良い画質のカットを少数枚コンポジットして仕上げるしかなさそうだ。もうちょっと早い時間に高度が上がるようになれば、楽に幾つかの撮り方で試行錯誤できるのだけれど…。この日は午前三時まで粘って、土星と同じ方法論が通じないことを確かめるにとどまってしまった。

Saturn 02/11/13saturn021113s.jpg

下の10日の結果が今一つだったところに、似たような気圧配置で好シーイングの夜が再びやってきた。今回はピントもさることながら、シーイングが安定している間により多くの枚数を撮影するよう努めてみた。おかげで、150枚をコンポジットする材料を得るのに成功。

実は、正直に白状すれば、以前は50枚だの100枚だのといったコンポジットを誰がやるの、そんな暇がどこにあるの、と思っていた。その「誰が」に、とうとう自分がなってしまった。それも、150枚…。TV85の名誉のために書いておきたい。眼視の状態が正しくデジカメ画像に反映されるなら、もっと綺麗に写っても良いくらいだ。まだまだ、何かが足りない、と思う。


Saturn 02/11/10strn021110s.jpg

光害地神戸東南部の寒さが僅かに緩んだ夜、千載一遇のシーイングに恵まれて撮影。カシニに神経を集中して、注意深くピントを合わせる。3mmラジアンでデジタルズームを使うため、粗くなる分を枚数で補うべく101枚コンポジット。画像が不自然になるのを嫌って、アンシャープフィルタは軽めに利かしてみた。眼視よりもちょっと太めのような気もするけれど、ようやくカシニが再現できた。101枚のコンポジットはステライメージ3で行ったが、自動位置合わせの画像マッチングは不使用。フォトショップ上で、手作業で位置を合わせて吐き出した101枚を合成した。

 

strn_021105es.jpgSaturn 02/11/05

高い位置に上がるのを待って撮影し、更に撮影画像を選びに選んだ結果。薄い線に見えているカシニを再現したいのだが、まだまだ。

この後、Astrostak2のリリースがあまりに遅れているのにしびれを切らして、ステライメージ3を手に入れた。ところが、これがことのほか素直に動かないソフトで、メモリのチューニングなどでだいぶ往生させられた。PentiumII 450MHz×2のわが老骨マシンにE5000の500万画素画像では、荷の重いソフト。Photoshopとの併用は不可欠のようだ。


Saturn 02/10/27saturn021027.jpg

たまさかの好シーイング。眼視ではカシニの隙間が見えていた。25日の撮影結果から、とにかく素材をズレなくコンポジットすることを念頭に処理してみたが、肝心の隙間はまだ再現しきれていない。

Saturn 02/10/25saturn021025s.jpg

曇・雨の予報だったけれど、どうも透明度は良いみたいなので、夕方から望遠鏡を外に出して冷却。上がってきた土星を雲の合間に見つけて、久々に撮ってみた。昨シーズンよりは良い出来…だと思う。図鑑などのイラストは黄色なので、色温度調整を蛍光灯にせず、昼光色で撮ったものをフォトショップ上で調整。また、パワーメイトを使わず、アイピースレンズの中央部を使い、拡大率はデジタルズームで補い、後のコンポジットで画質を高めるようにしてみている。


Jupiter 02/03/09jupiter020309_2.jpg (23759 バイト)

シーイングが良いのやら悪いのやら…というのは、シンチレーションこそ減ってきたものの、今度は黄砂などの影響か、春霞か、透明度が今ひとつ。それでも、とクリアイメージモードで撮影した画像をコンポジットして、やっとこさ、大赤斑が比較的クッキリとした画像を得た。天文ガイド誌3月号の記事によれば自転ブレを避けるには2分以内で撮影した画像をコンポジット、ということだが、これはもう少し長い。


saturn_020212c.jpg (20407 バイト)Saturn 02/02/12

シーイングのよさに、久々で惑星にトライ。コンポジットした各画像自体が、撮影時のクリアイメージモードで実質二枚コンポジット処理を施した画像になっている。冷却CCDカメラによる画像の色傾向を意識して仕上げてみた。押し寄せた寒波に震えながら撮影。

verline.gif (46 バイト)

Saturn Feb 12, 2002 by TV85 with E5000Jupiter 02/02/12

左の土星に同じく、これもコンポジットした各画像自体が、撮影時のクリアイメージモードで実質二枚コンポジット処理を施した画像になっている。 下の画像を越えたいと思って、多くの枚数をコンポジットしてみた。今までの画像で見えていない模様が少しは出てきているように思う。


jupiter011227.jpg (16898 バイト) Jupiter 01/12/27 jptr011227_sst.jpg (8483 バイト) Jupiter (同 シングルショット)

シーイングは下の22日ほどではなかったが、Nikon CoolPix5000のクリアイメージモード(自動的に複数画像をコンポジットして画質を向上させるような機能)を試すために撮影。左がAstroStakでの再コンポジットで、右が単画像をPhotoshop上で調整したもの。状況によっては、かなり有効に機能しそうだ。


jupiter011222_2306.jpg (20161 bytes) Jupiter 01/12/22 saturn011223.jpg (20549 bytes) Saturn 01/12/23

TeleVue85を手に入れてのファーストライト。土星はNikon CoolPIx5000で撮影。AstroStakがもっと大きな解像度に対応してくれれば、より大きな惑星画像をお見せできるようになる(現在、作者は鋭意努力中だそうだ)。


Copyright © Daisuke Tomiyasu 2001-2002