Mars 03/10/05
いよいよ火星も遠のいてきた。前回(下)、そろそろディライトモードかと書いたのだけれど、その比較が上。こうなると、どちらで撮ってもそれなり、だ。但し、ディライトモードで撮影したものは、RGB各チャネルの色ズレが酷く大きく、フォトショップ上での調整作業も増える。使うデジカメの特性によってもまた違ってくるだろうから、あとは夫々の環境や色合いの好み次第だろう。 |
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Mars 03/09/16 コントローラーの故障から悪天候と、なかなか次を撮れないでいたのだけれど、この夜は久々に撮影。かなり回転して、見える模様がまた違ってきた。 ところで、この前後、パソコン批評という雑誌の掲載評価記事のためにMinolta A1をミノルタ広報より借用し、あれこれテスト撮影を行っていたのだが、その中には火星の撮影も含まれている。結果の写真は同誌発売後に公表するけれど、火星についていえば、赤外線域が非常に良くカットされているカメラなので、タングステンモードどころかディライトモードでの撮影になった。また、赤外線域カットという理由のほうが大きいが、長時間露光僅か30秒までということもあり、ディープスカイ撮影には全く使えないことを報告しておきたいと思う。普通の写真は、ズバ抜けて凄く良く写るのだけど…。 |
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Mars 03/09/04〜05 4日夜から5日未明にかけては、透明度は高いのだが、シンチレーションが酷い。久々で惑星がブヨブヨしたように見えた。 比較的早いシャッターが切れれば左のように、それでも何とかならないでもないが、遅いシャッターでは影響がモロに出るだろう。F4のありがたみを痛感。この画像は、撮影がちょと早い時間だったこともあって、太陽の湖が正面に回ってきた。 ところで、この夜、左の画像などを撮影していたら、DD-1コントローラーが途中で故障し、動かなくなった。やむなくOrion300mmを諦め、SkySensor2000PCをつけたGP赤道儀に載せたTV85で観測を継続。夜2時頃には雲が広がった大阪湾上空だが、それまでの間、火星のみならず久々のスバルなども撮影した。DD-1は初期不良扱いになるかも知れないとのこと。妙に熱をもっていると思っていたのだけれど…。
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晴れかと思いきや、高曇り。EV値ワンステップ分暗いその像が得られるのは厚い雲の合間とあっては、もうお手上げ。コンポジットした結果も上のように、今ひとつ細かいディティールが出ていない。それでも、1/8秒でブレ要素がさほど目立たないのは、シンチレーションが前日より少なかったおかげ。 双子の高気圧があるのは前線を挟んで北。あれが降りてくるか、太平洋側に高気圧でもあればと思うけれど、天気図にあったのは熱帯低気圧。雷注意報が出ていて、時折雷光の走る空に、この夜は早々と撤退。 (EV値=Exposure Valueという単位で、シャッター速度や絞りのワンステップに相当する) |
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連日、ある程度の高度になると雲が広がってくる。それでも、もう一月程度しかないと思うと、やはり設置して覗いてしまう。覗けば一応撮っておこうと思うし、撮り出すとなんとかしたいと思う。 雲と雲の間で顔を出したところを狙うが、半分は薄い雲越しの映像で暗いけれど、1/15秒以下ではシンチレーションの歪でブレる。この程度が精一杯だ。ピントは小型液晶テレビで確認しているけれど、こんな状態だと暗くてチェックも難しい。 ところで、この角度だと火星がひょうきんに見える気がする。太陽の湖とシレーネスの海が目で、ウィンク。オリンポス山のあたりが口。 |
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Mars 03/08/31 最大接近の日も好天だったとはいえないが、以後、ロクな天気でない。一瞬の雲の隙間程度のチャンスはあっても、モノになるだけの枚数を撮影するに至れない。これが大雨なら安心して「本日雨網日」だけれど、見えそうだとどうしても望遠鏡を持ち出すことになる。 この夜も、零時前後の晴れのスポット予報で望遠鏡を出してみたのだけれど、シーイングは乱れがちだったものの意外に透明度は高く、辛うじてこの程度の画像が得られた。オリンポス山〜パウォニスからさらに北へと白点が連なっているが、一瞬、なにやら光学系にゴミでもあったかと錯覚するような規則性のある並び方だ。 自転する惑星を撮影していると、時を追って見え具合が変化するのが楽しみになってくる。この火星は、またとない接近時なので、なおさら、そうした違った見え具合の状態を見逃したくないと思う。だから、連日のような観測もなんとか継続できるのかも知れない。 |
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ところで、銀塩カメラを接続するための拡大撮影Tリングアダプタで利用するのが本筋のPentaxのXOアイピースだが、なぜか28mmのネジが切ってある。たまたまNikonのスイベル型デジカメのフィルタ径と一緒だからと、これをデジカメのためのネジと勘違いするとロクな目に遭わないのは、皆さん良くご存知のとおり。眼視にも良像なんてあるから、余計間違えそうになるが、右のとおり、写りはアイレリーフの高いアイピースに叶わないし、特に2.5mmでは非常に視野が狭いので導入もホネだ。間違って買わないよぉにと雑誌類にも良く書いてあるし、販売店も、まさかデジカメでの拡大撮影用としては販売しないと思うけれど、論より証拠。それにしても、旭光学は何のためにあのネジを切ったのだろう。フィルタじゃあるまいし…。
(どうやらフィルタ装着用だそうだ) なぜXOが手許にあるかといえば、Tリングアダプタなどを買いそろえ、ぼちぼち銀塩でも撮ってみたいと思っているから。この夜は露出を見るためのテストとしてXOをデジカメに接続してみたのだけれど、そのついでで、右のような比較画像ができた。 |
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Mars 03/08/28
-最大接近日- いよいよ当日。夜八時過ぎにはかなり低いところに出ていた火星だが、十分な高度が得られる頃には曇。だが、スポット予報は深夜零時頃の晴れ間を予報していたので、一応スタンバイ。切れ目に出た火星で導入を済ませて待ってると、文字通り千載一遇のチャンスにめぐり合った。雲が流されて、南側の空が一面クリアになったそのとき、E5000で連写。 赤道儀の極軸は北極星が見えずにあわせられず、連日の観測で据えている場所のカンで設置したのだけれど、これも大きなズレなしに成功。本当にラッキーだった。 まだまだ一月は接近状態にあるといいながら、やはりこの夜は歴史的な六万年ぶりの“今月今夜のこの星”だ。
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Mars 03/08/21〜25
E4500タングステンモードで馴染んだところに、E5000の修理があがってきた。E4500とE5000ではやはり、微妙にチューンが違うようで、E5000ではタングステンモード、ディライトモードを問わず、大凡は調整できる範囲に入っている
が、タングステンモードで撮影したほうが、より簡単にシミュレーションに近い色合いになる。また、サーモンピングの色合いを出すには、E4500のほうが向いている。 左は昨25日撮影。下4カットは、21日からこちら、E5000で試行錯誤を重ねてきたもの。特に下二枚は、調整の違いだけの画像だ。このくらいの差になると、好みの問題だろう。 左二枚下は、たまたま25日夜のNHKニュースですばる望遠鏡の映像が出ていたので、それに近いものを引っ張り出してみたもの。なお、今回はTV85での画像も追加しているので、あわせてご覧いただきたい。 (ようやく雨で早寝できる25日深夜筆)
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Mars 03/08/20 やっとめぐってきた好天のお陰で、E4500で撮影した火星のうちでも最上の出来になった。サイズを1280x1024にして、そのまま壁紙で楽しめるように仕立ててみた。それにしても、本当にすごく接近してきたモンだなぁ、と思う。大シュルティス(中央から下へ降りている影)やヘラス、そしてそのグラデーションがクリア。 One Point!
-You can take it, too!!- |
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恨めしい雨・雨また雨そして曇…。梅雨明け宣言こそ出たものの、天気図はまるで梅雨のまま。こうなると、シーイングに期待できない僅かな晴れ間でも、案外の結果が得られることもあるし、狙おうかという気になる。シーイングは、良いような悪いようななんとも言えない状態。若干シンチレーションがありながら、透明度は高く、眼視でも模様が綺麗に確認できた。ちなみに、f4に接近した火星は非常に明るくて、眼視では雲がかかっているくらいの時のほうが模様が良く分かるほどだ。 撮影にあたっては、前回から色温度設定を白熱球(3200ケルビン)にしている。この結果、6日までの“真っ赤な火星”から、シミュレーションや多くのWebサイトで見られるToUcamなどによる画像に近くなった。なお、デジタルズームで1.4倍にしているが、E4500の場合、これ以上にズーム倍率を上げたり、PowerMate(バーローレンズ)を使うなどすると、レンズの研磨痕が目立ってくる。 この画像も、フォトショップの8bitモードで、まず画像を全選択してから、RGB夫々のレイヤーに拡大・縮小をかけながら位置調整して、色のズレを修正している。また、先にステライメージでコンポジットするのだが、その際、 全部ではないけれど、ルーシー&リチャードソン法で画像復元をかけると、画像が滑らかになる ケースもあるようだ。 |
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Mars 03/08/11 それにしてもこの火星、どことなく人面があるように見えるんだけど…。 (男の子?の顔のような…) |
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Mars 03/08/06 ビデオ全盛の火星画像にデジカメで対抗するのには、わけがある。ひとつは、私がスティルフォトグラファーであること。もう一つは、ビデオの小さな解像度では満足できないこと。たまたまパソコン画面で見ているからそれなりの大きさだが、印刷だって、サービス版くらいがせいぜいのはずだ。そこで、ちょうどそこそこのシーイングに恵まれたこともあって、目一杯大きく作ってみた。それなりの大きさに印刷したプリントアウトは近づいて見るのではなく、壁に貼るなどして眺めるものだから、調整の度合いも違ってくる。言わばこちらは“観賞用”だ。 逆にいえば、ビデオで得られる程度の解像度へ落とすなら、ToUcamがもてはやされているものの、ほうぼうで見かける映像と比べた限り、デジカメでもそこそこの結果は出るということが言えるように思うのだけれど、どうだろうか。ToUcamでは合成材料となる画像の質が悪いために1000枚必要なのだが、デジカメなら材料の質が良いから100枚で済む、という理屈かも知れない。話題のRegisitaxについては、デジカメの動画モードで撮影した映像はなぜかエラーで合成できない。他のツールでやってみたら、箸にも棒にもかからない酷いモンだった。もし、Registaxがこうした大解像度のデジカメ画像にも対応したら…??。(8/25追記:Registaxは2003/8/17にVer2へアップ デートされ、対応したようだ。) |
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Mars 03/08/04 今回は火星くるくるというソフトのシミュレーション画像を同画面に挿入してみた。実は仕事とこの天体とでフルに使ってきたE5000が、ここにきて使いすぎからかトラブったため、修理に出した。盆休みをはさむため、戻ってくるのが大接近のピークのビッグデイを超えた頃になりそうだというので、アクセサリ類(魚眼レンズなど)が共通のE4500を入手したが、そのE4500で初めて撮ったのがこれ。E4500は発売から時もたっていて安価で、結構お勧めの一台。保冷材でレンズユニット側を冷却CCDよろしく冷やしたりもできる、スイベル型の合理性がたまらない。 そんなE4500の具合を確認したくて、曇の予報でもあきらめずに粘ったのだが、雲の合間にコンポジット用の37枚を撮るのがやっとの天気。にも関わらず、シンチレーションはさほど酷くなかったおかげでこの程度の画像にはなった。模様は比較的良く見えていると思う。低高度ゆえの大気による色ズレは、フォトショップ8bitカラーモードで可能になるRGB別の移動でズレを修正して解消。もっと枚数が撮れていたらと思うと悔しいけれど、天気ばかりはどうにもならない。大きなウチワで雲を吹き飛ばしたくなる。それとも、雨乞いならぬ高気圧乞いの踊りでも踊るか…。 |
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実はここ一月ほど、ニュートン式の光軸調整のドツボにはまっていた。思うような画像を得られないのと長梅雨が重なり、ここにアップするような成果のない日々が続いていたが、ようやく納得の調整ができた機材で一枚、偶然シーイングにも恵まれて得られたのが上の画像。左脇の小さな画像はステライメージで平均ではなく加算で合成した結果で、修正過剰と思うけれど、クッキリとはしているので添えてみた。星像もだいぶ大きく、明るくなってきたおかげで、この画像ではパワーメイト2.5倍を使い、デジタルズームは使っていない。実は、フォーカサーを米MoonLite社のDual Rate Crayford Focuserに変更した。標準のままではカメラを装着したときの重量に耐え切れず、たわみが酷かったからだ。このフォーカサーは、納得できる買い物だった。 赤道儀も、GPからGPDに変更。実はGPD-PCを買ったのだけれど、一時間半ほどで止まってしまう。結局オライオン用には使い物にならず、入れ替わりに修理に出していたモーターが戻ってくるのを待って、MD-1/DD-1の取り合わせに変更。SkySensor2000PCはGP赤道儀のほうに付けている。こっちにはTV85を載せて、どちらかで撮影中はどちらかで観望を楽しもうかと思うけれど、さて、果たしてそれほど余裕があるかどうか…。 |
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まだまだ遠く小さいとはいえ、大接近の期待が日々募る火星。待ちきれず、午前四時頃まで粘ってトライしてみた。
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Copyright © Daisuke Tomiyasu 2001-2003